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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第5章 私は幼馴染みとキスをしました


切り離していた気持ちが少しずつ私の心を苛む

“俺にはお前しかいないんだよ……”


“もうどこへも行かないでくれよ…あいつのことも考えないでくれ…俺は…真琴が好きなんだよ…”


頭の中でリフレインする言葉

私は選ばなければならないのだろうか

“赤也を受け入れるか、拒むか”

彼は大事な親友だ

でも彼にとっては、それだけじゃない


膝がかくんと折れた

階段を下っていた私の右足は段を踏み外したらしい

「ーーーーーっ!!」



目をぎゅっと瞑る

ああ、ツイてない

そう思いながら私は転がり落ちた

だが覚悟していた痛みはなく、代わりに暖かみを感じた

そっと目を開くと痛みに耐えている海堂が見える

私を抱き抱え、庇ったらしい

「………!!!!か、かいどっ……おいっ!!」

揺らして見るが苦悶の表情だけで返事はない

忍足「どないしたん!?」

倒れている海堂とボロボロ涙を流し座り込んでいる私を見た忍足さんがぎょっとしている

急いで海堂に駆け寄り、状態を確認してくれた

忍足「バッグのお陰で頭は打ってへん。大丈夫や」

私を安心させるようにそう言うと、自分の背中に海堂を乗せる

慌てて私もそれを手伝った

痛いのか、海堂の整った顔が歪んだ

忍足「我慢しいや。ほら、行くで」

背中から落ないように海堂の背中を支えつつ医務室へ向かった

私が考え事をしながら歩いていたからだ

だから踏み外した

自業自得なのに海堂をそれに巻き込んでしまった

涙が止まらない

忍足「吉野のせいじゃあらへんで。」

忍足さんが慰めの言葉を投げかけてくれる

「……私のせいです」

止まらない涙を拭いながら医務室の扉を開き、忍足さんを中へ通した
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