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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第3章 合宿までの3日間


「埒があかねえ」

そう言った海堂は手錠のかかっていない左手で私を抱き抱えると道を探せと言う

嫌な体勢だなと思ったが、鏡にぶつかるのはもうゴメンだったので素直に道を探す

手で壁を触り、先を探していると至近距離から海堂の声がする

「お前軽すぎる。ちゃんと食ってんのか?」

唐突に言われドキリとする

残念ながら男ほどの体重も筋肉も付けていなかった

「そもそも身長がないからな」

これも事実だ

現に先ほど、手を伸ばし背伸びをしてようやく海堂の後頭部に触れたくらいだ

「あ、海堂。ここ抜けて、一旦ストップ」

指示を出しながら次の道を探す

「真琴。」

不意に名前を呼ばれた

海堂の方へ振り向くと、私の首元の方へ向き鼻をすんと鳴らし目を細めている

「お前なんかつけてるか?いい匂いがする」

彼はまるで、色男の様な台詞をいう

「あ、そう言えば香水つけてる」

自分の手首を鼻に近づけて同じようにすんと嗅ぐ

「これは大事な人から貰った物だから」

そう言うと次の道を進むように促す

この香水は兄から貰ったものだ

私の誕生日パーティーを二人で抜け出し、庭園でこれを渡された

お前にぴったりの匂いだよ、真琴

と言って貰ったこの香水は生産量が少なく手に入りにくい

「“Amarte”って名前だから欲しかったらどうぞ」

言ってから後悔した

海堂が香水を付けるわけが無い

「…考えておく」

意外な返事を貰ってキョトンとした

「え、つけんの?」

「つけねえよ」

じゃあなんで?と問おうとしたがようやく出口がみえる

そこで私を下ろし“行くぞ”と一言呟くと真っ直ぐ前に進んだ

「お疲れ様でした〜!はい、スタンプ押しますね!」

テンションの高いスタッフにスタンプを押してもらい第一関門クリア

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