第3章 合宿までの3日間
それにしても、触れた部分に少しの違和感を感じる。
筋肉はしっかりついているが、腰のくびれと骨盤の出方がまるで女だ。
そんな身体の造りをしている男がいるのかと新たな発見をしつつ、やっと目的地についた事に安堵する。
「ここか?」
確認をとると小さく頷いた
随分とでかいマンションだなと思いながら、エレベーターに乗る
「805は…ここか」
お目当ての部屋が見つかり、ひったくった鍵で開けた
「ほら、ついたぞ。」
本人は自分で入る様子がなく、渋々家へ邪魔することになった
ベッドを見つけ、なんとか寝かせた
飲んだくれの世話をさせられたような気分で、どっと疲れてしまった
「俺は帰るぞ」
聞いていないだろう吉野に声をかけ振り返ると、壁に沢山の写真が飾ってあった
その殆どが切原との写真だったがその中に数枚、青学メンバーとの写真が混ざっている
その写真は恐らく、月刊プロテニスの女性に撮ってもらったものだろう
桃城とふざけた顔した写真に、全員の集合写真
俺とダブルスを組んで勝った練習試合の時の写真もある
こいつはこいつなりに青学を大事にしている
「フッ」
心の中で、何かがストンとはまる音がした
これだけわかってりゃ、それでいいじゃねーか
自分でそう納得してから、もう一度家主に声をかける
「邪魔したな」
そして静かに吉野の家を後にした。
――海堂side END――