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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第3章 合宿までの3日間


――海堂side――

クソッ!!!

やり場のない怒りで乱される

冷静になる為にランニングを始めたが全く冷静になれずにいた

「………?」

素振りでもしようかと土手まで降りると、芝生に見慣れた姿が横たわっていた

今、一番会いたくない相手だ

引き返そうかと考えたが、相手の呼吸が一定のリズムを刻んでいる事に気づいた

恐らく寝ているのだろう

「チッ…風邪引くだろうが、アホ」

仕方なくカバンからジャージを取り出し、上にかけてやる

段々、さっきの喧嘩がバカバカしく思えてきた

確かに俺らにとっては憎い敵だが、吉野にとっては親友だ

仲間が違う位置から物を見ていたことに怒っていたんだと思うと本当にバカバカしい

「アホくせえ」

考えるのをやめ、寝転がっているバカの隣に座る

日が落ちてしまった為か、少し気温が下がってきた

吉野は寒いのか身体を丸めて俺のジャージを握り締めている

「うぅ…ぅぅぅぅ…」

唸り始めた。どんだけ寒いんだよ。

つか、そんなに寒いなら起きろよ。

寒がってはいるものの起きる気配がない。

「いい加減起きろ!このアホ!」

痺れを切らして揺らし起こした

暫く揺らすと少し低めの声が聞こえてきた

「ん…なに…?」

細く開いた目が焦点を合わせようとして俺を見る

そしてやっと意識がはっきりしたのか俺を見てビックリしている

「いいから帰るぞ。それ着ろ。」

掛けていた自分のジャージを指さす

「うん…」

すんなりと聞き分けると、制服の上から俺のジャージを着る

身体が小さい所為かすんなり着れた。

しかもかなりダボダボ

「お前、ちっせーな」

立ち上がり見下ろす

「ちいさくない…」
まだ寝ぼけているのか目を擦りながら立ち上がる

二人でカバンを肩にかけて歩き出した

「お前ん家どっちだ?」

途中で寝られても困るので送って行くことにした

「あっち…」

指を指しながら歩く吉野はフラフラしている

「チッ…めんどくせえ…」

吉野の腰を抱き、ベルトを掴んで無理矢理立たせる

「おら、行くぞ」

なんとか歩く吉野を支え家に向かった
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