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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第2章 勝利のために


河村先輩が申し訳なさそうに保健室についてきてくれた。

生憎、保健の先生は留守にしているらしく無人の保健室に入る。

「すまん」

河村先輩が深く頭を下げた。

「やめてください、自業自得ですから」

河村先輩は人が良いから責任を感じているらしい。

「でもっ……」

私達の間に気まずい沈黙が流れ、何も言えなかった

ガラガラガラ――――

突然保健室の扉が開いた

振り向くと、今試合を終わらせたであろう汗まみれの海堂が入ってきた

「先輩。次、試合っす。行ってください」
海堂は棚から冷却スプレーと湿布と包帯を慣れた手付きで取り出した。

「でも…」
渋る河村先輩をみて、私も一言だけ呟いた

「勝ってください」

その言葉に我に返った河村先輩は、“悪い”と一言残し保健室を出ていった。

「――――っっ!!」

海堂が私の手首に冷却スプレーをする

私はただただそれを眺めていた

「関東大会は俺たちに任せろ。お前は早く治して全国大会に備えておけ」

丁寧に湿布と包帯をし終えた海堂は自分の汗を拭った

「サンキュ、海堂」

海堂の言葉で私は次の希望を見つけた

―――全国大会―――

「ぜってえ負けんなよ、海堂」

この手首が完治するまで応援に徹しよう。

「あたりめーだ」



私は海堂を尊敬していた。

ほとんどの時間を筋トレに費やしているテニスバカ

努力を惜しまない

テニスが出来ないなら、私も筋トレをしよう

そんなことを考えていると突然髪の毛をぐしゃぐしゃとされ、ひどい髪型にされた

「何すんだよ、バ海堂」

髪の毛を直しながら悪態をつく

「だれがバ海堂だコルァ。戻るぞ」

さっさと扉を開いて出ていってしまった

私も慌てて後を追いかけてコートに戻った
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