第10章 さよなら、月山さん。
月山さんは、僕を追ってきた。
「だったら、此所で死にたまえッ!!」
彼の悲痛な叫びを、僕は振り払った。
初めはこんな事になるなんて、思っても見なかった。リゼさんと出会って、喰種になってしまい。追い討ちを掛けるように僕を食べようとしてきた美食家。最低で変態の、エセ花紳士。僕は彼にすっかり捕まってしまっていた。
最期まで彼の事を考えるなんて、と、CCGの眼鏡を掛けた白い髪の男の人を目の前に、僕は自嘲気味に笑った。
──あぁ、僕は、悪い美食家に捕まってしまった様だ。さよなら、ありがとう、好きです、月山さん。