第10章 さよなら、月山さん。
目を覚ますと隣に月山さんが居た。まだ眠っている様で、少し可愛い寝顔を此方に向けている。その長い睫毛が微かに震え、ゆっくりと眼が開く。
「ん...good morningカネキくん...?」
僕は、ふっと微笑む彼を置いてベットを出た。月山さんが上半身を起こす音を聞きつつ戦闘様の服に腕を通した。
「さようなら、月山さん。」
はっと目を見開き慌てた様に何やら叫び此方へ向かってくる月山さんを無視し僕は外へ出て、ドアを閉めた。
中から月山さんの声がした。
─カネキくん、行かないでくれ。
その言葉には、もう、答えられないんだ。
外を歩いていると"あんていく"にCCGが突入したというニュースが流れていた。僕の大切な居場所。大好きな人達。守りたい、友達。
僕は"あんていく"へと足を向けた。