第1章 君の声にかき消されて…
「花音、すばるの言うとること…ホンマなん?」
「…違います、私の力不足で…」
「花音、ホンマのこと言い?
嘘ついたら承知せぇへんで。
俺に遠慮せんと、はっきり言い」
真剣な顔で言う渋谷さん。
そんな渋谷さんの顔を見たら誤魔化すことなんて出来なくて…。
「…ほ、本当です…。
私の声は…渋谷さんの声に合わせることが出来ないんです…。
どうしてもかき消されてしまって…」
言っていて段々とボリュームが落ちて来る。
申し訳ない気持ちでいっぱい。
私の力不足なことに違いはない。