第3章 臨也さん
「静雄さんの…ことですか」
「いや?そういうわけじゃない。」
「じゃあ…」
現在、私は憧れの折原臨也さんと二人でカフェにいる。
これだけ言うとなんとも羨ましい光景に見えるが、相手が何を考えているか分からないためなんというかとても気まずい。
相手はそうではないのだろうけれど。
「単刀直入に言うとね、俺の質問に知っている限りでいいから答えてほしい。」
「情報提供ってことですか?」
「まあそういうことかな」
爽やかに笑う臨也さん。
「それはいいんですけど、私が教えることなんて」
「前までどこ住んでた?」
「埼玉です」
「ふーん、池袋に前住んでたことは」
「ありますよ?じゃなきゃ臨也さんのこと知りませんもん。」
「そうだよね、じゃあ何年ぶりに戻ってきたの?」
「7年ですけど…あの」
「ん?」
「この質問に意味あるんですか…?」
すると臨也さんはすっと目を細めた。
「ないよ。全部知ってるから」
「………ストーカー…」
「君に言われたくないかな」
「私は臨也さんの名前と情報屋ってことくらいしか知りませんよ~」
「情報屋ってことを知ってるならストーカーじゃないことくらい察せないの?」
「今の高校に受かれたのが奇跡っていわれた私の気持ちを察してください。」
「はは、いいんじゃないかな。受かれたんだし。ついでに俺の母校だしねー」
「へーそうなんですか。で、本題は。」
「突然真顔にならないでよ…そうだね」
一呼吸おいてから臨也さんは改めて口を開いた。
「本人だと確認できた。君さ俺と一緒においでよ」
………これは。
「プロポーズというやつですか!?」
「そう思ってもらってもかまわないよ」
「馬鹿にしてますよね?」