第5章 及川・菅原・月島 『そうだ!夏祭りに行こう!!』
『月島くんと夏祭り』
彼女は熱くなりやすい。
今も射的でムキになってる。
そろそろ止めないとかな…?
「あっ!蛍くんも射的するの?」
「別に…。
で?どれが欲しいわけ?」
嬉しそうに大きなウサギのぬいぐるみを指差す。
え…そりゃあウサギ狙っても取れないわけだよ。
すいれんはだいぶうっかりしてるから、
僕が見ててあげないと…。
まったく…世話がやけるんだから。
「まったく。すいれんはお店の人からしたら、
相当なカモだよね。」
「蛍くんが取ってくれたからいいんだよ〜!
ありがとね!家に飾るぞ〜!」
ウサギのぬいぐるみを抱き抱えて嬉しそうに、ピースサインをする。
はぁ…
本当にしょうがないな…。
「次は金魚すくいで勝負だっ!」
「へぇ…すいれんが僕に勝てるかな?」
「やってみなきゃ分からないじゃんか〜!」
すいれんはポイをもらって水槽に狙いを定める。
「ほら!蛍くんも!
ここはあたしのおごり♪」
「そりゃどうも。」
まぁこうなるとは思ってたけど。
すぐにポイに穴を開けてすくえてないすいれんと
そこそこすくえたけど、まだ穴が空いていない僕。
「お嬢ちゃん…一匹もすくえなかった子には
好きな金魚を一匹あげてるんだけど
どの金魚にするかい?」
「あ!あたし金魚はいいです!やるのが好きで!
きっとこの子達も、きちんと飼ってくれる人の所に行った方がいいから!」
おじさんが感心したと、
すいれんに金魚のキーホルダーを渡していた。
僕も辞退したら、同じキーホルダーの色違いをくれた。
「お!お揃いですな〜!つけちゃいますか〜?」
「……はぁ…僕はパスで。」
「ですよね〜…。じゃあ蛍くん持っててよ?
今日の思い出!あたし携帯につけよ!」
性格が正反対な僕達は
小さい頃から家が近所で
いつも一緒にいたっけ。
小さい頃は木に登ったり、虫捕りしてた活発な彼女が
今はやけに華奢に見える。
まぁ僕が大きくなっただけなんだけど。
なんか…女の子みたいだ…。