第5章 及川・菅原・月島 『そうだ!夏祭りに行こう!!』
「はぐれたら大変だから、俺の服つかんどけよ?
足が疲れたらちゃんと言ってな?」
「はい!
菅原くん…お母さんみたい…」
うっ…そこはせめてお父さんで…。
まぁそんな問題でもないんだけど(笑)
まぁ笑ってる顔が見れてるからよしとするか♪
縁日を歩き回ってると…
向こう側から見慣れた坊主頭が…。
「うひょ〜!!やべぇよ!ノヤっさん!
浴衣美女見放題たまんねぇ〜」
「ちょ…俺にも見せろよ!ちくしょ〜人混みで見えねぇ…。」
「ぷっ…西谷さん…よかったら僕が持ち上げましょうか?」
「ああん?月島てめぇ!!
チビって言うんじゃねぇ!!
力…止めてくれるな!」
「もう!落ち着けよ〜!
後輩に先輩らしさ見せるんじゃなかったのか?
まぁ月島はチビとは言ってないけどな」
やべ⁉︎
うちの部のみんな来てる⁉︎
今日祭り断るのもだいぶ疑われたしな…。
俺のワガママだけど、
何よりまだ青井と一緒に回りたい…。
青井の手を取って反対方向に歩き始めた。
「え?菅原くんどうしたの…?」
「ごめん。事情は後で説明するから、
そこの植え込みの所に少しの間しゃがんでもいいかな?」
頷いてくれた彼女と一緒に、
植え込みの陰に隠れる。
不謹慎なんだけどさ…
すごい距離が近くてドキドキするなぁ…。
なんか色んなものが保たない…
「(大丈夫?)」
「(もうちょい待って!)」
小声で話しながら、
部のみんなが行ったのを見て立ち上がる。
「浴衣なのに
しゃがませてごめんな?
立てるか?」
「ありがとう。足腰丈夫だから大丈夫だよ!
何かあった…?」
差し出した俺の手を掴んで言う。
「実は部活のみんながいてさ…
見つかると色々大変だからな」
「大変なのかぁ…そっか…
あ!花火もうすぐだから行こっか!」
スッと手を放して
俺の前を歩き出す。
あ…
もしかして俺、
言葉が足りなかったかも…
謝ろうとするが、
タイミングを上手く掴めないまま
花火の時間だけが近付いてた。