第5章 及川・菅原・月島 『そうだ!夏祭りに行こう!!』
小さい頃
岩ちゃんと3人で遊んでいて
すいれんはいつもここによく来てた。
『徹ちゃん遅いよ!』って。
長い階段を登り終えると、神社の境内に三角座りしてる彼女を見つけた。
「すいれん…遅くなってごめんね…。」
パッと顔を上げると安心したように彼女は笑った。
「及川くん…あたしこそ、勝手に移動しちゃってごめんね…。
待ってたら怖い人達に声を掛けられて、
怖くて電話してたら繋がらなくて…
そしたら携帯の充電切れちゃって…。
あたしったら充電満タンにしとかなきゃダメだね!」
急いで走ったんだろう
髪の毛は乱れて、少し足が震えてた。
「何言ってるの!100%俺が悪いじゃん!」
彼女をぎゅっと抱きしめて背中をさする。
「…あたし子供みたいだね。
来てくれてありがとう。
早く大人になりたいなぁ。」
「すいれんは変わらなくていいよ。
そんなに大人にならないで?
俺が追いつけなくなっちゃう。
昔、よく泣くとここに来てたでしょ?
そんな可愛いままのすいれんでいてよ?」
ひどい!って拗ねて怒る君は可愛い。
言うとまた怒るから言わないけど(笑)
「これ…遅くなったお詫びです。
受け取ってくれますか?すいれん姫?」
食べたがってた綿あめをそっと渡すと
パァーッと顔が代わって笑顔になる。
「うむうむ!くるしゅうないぞ!
へへ〜!ありがとう♪
一緒に食べよう?袋可愛いね〜!」
この笑顔を守るためなら
俺はなんだって出来るよ。