第18章 寄付してくれた婦人

「体というものは口よりも遙かに正直なものだ。
君のあの感度や快楽に溺れる様は同意の上でしか成り立たない。
『強姦されても感じるのは生理現象で仕方ない』という言葉を
私は信じない主義でね。君はあの時の事を
『生理現象で仕方ない』と言う言葉で片付ける気か？
君はありえないほど快楽に弱くて私が少し触れただけで
何度も・・・」

「五月蝿い！黙れ！」


顔を真っ赤にしながら叫ぶと、エルヴィンは口を閉じて
じっとナナシを見据えた。

ナナシは目を泳がせながらも「もうお主とは寝ない」と
キッパリ言い切り、隣にいたエルヴィンと距離を取るように
ジリジリと後退する。


そんな様子をリヴァイとミケは少し複雑な心境で見ていた。

話だけ聞くと単なる痴話喧嘩に見えるが、
ナナシの頑なな態度はなかなか根深いもののようで
彼には何か人には話せない事情があるのかもしれない。

取り敢えず不穏になりつつある空気を払拭させるため、
リヴァイとミケは話題を変えることにした。