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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第15章 契約の穴








「何故試されていると思ったんだい?
それは君にも何か思うことがあったって事だろう?
人払いをしたという事は私に何か言いたいことがあった・・・
・・・違うか?」

「・・・・・・・・・・・・・」


目の前にいる男が恐いと思う。
どこからが演技でどこまでが本気なのか検討がつかない。

考えを全て読まれているようで、自分よりもエルヴィンの方が
化物のように思える。


「・・・・なぁ、エルヴィン。私を解放してくれないか?
私はもうここにいてはならぬのだ」


無駄だと思いつつ訴えてみると、
エルヴィンは蒼眼に静かな怒りを宿した。


「理由も何も聞かされず、それに応じる馬鹿はいないと思うが?」

「な、何も聞かずに・・・受け入れて貰えないだろうか?」

「そもそも契約違反だ。君は半年間は調査兵団の為に働くと
私と契約したはずだ」

「お主はその契約を三つも破っておるではないか!」

「九つの内六つは守っている。充分守っている内に入ると思うが?」

「一つでも破れば私は実家に帰ると言ったはずだ」

「それは契約書に含まれていないし、それを契約した覚えはないな」

「な・・・っ!?」


エルヴィンの言葉にナナシは絶句する。

確かに自分は言った筈だ。
一つでも条件を呑めなければ実家に帰る、と。


呆然とするナナシにエルヴィンは酷薄な笑みを浮かべて言い切った。





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