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FFⅨ Hi Betty! (Short)

第3章 今宵、眠る寝台での回想録


「…クジャ様、もしかして気を遣ってくださってるのですか?いつも、私がブラネ様と…その、いろいろあるから…。私、クジャ様とお話するのが楽しいのかもしれないって、今日初めて思いました。…内容は、セクハラっぽいけれど…なんだかお酒の場にいるみたいです。……でも、綺麗だからやっぱり刺激が…、じゃなくて、クジャ様の冗談にどう返していいか、分からないところもあるけれど、嫌なわけではないので、誤解させていたらすみません。いつも気にかけていただいて、ありがとうございます。…クジャ様みたいに接してくださる方は初めてです。」

時にまごまごしながら、時に照れ臭そうに紡がれた彼女の言葉に対して、僕は口を挟みたくなるのを我慢した。
今日初めて楽しいと思った、セクハラっぽい、そして極め付けの冗談。
恐らく悪気はないのだろう。悪気なくここまで盛り込まれることが、人生にあと何回あるのだろうか。

「ねぇ、いや…、楽しかったならよかったね。でも、……ああ、やっぱり我慢できない。」

うまく事を収めようという発想はあった。
だが、無理だった。
気づけば、言葉の方が先に出ていた。

「まずひとつ、ベッドメイキングは中断。理由は、僕がお願いした紅茶とお菓子を用意するため。厨房で姿なんか見なかった、とか言われようものなら適当にしらを切れ。ふたつ、僕は今日の会議に疲れて眠っている。扉には鍵がかかっている。つまり、誰かノックしても気づかない。誰もこの部屋に入ることはできない。分かったかい?これは口実だ。だから、扉の鍵を閉める。」

僕は扉までいつもより広めの歩幅で歩きながら、空気の抜ける風船のように息継ぎの暇もなく、彼女に口実を伝え、客室の鍵を閉めた。
振り返ると、彼女がきょとんとした顔で僕を見つめていた。

「…シェリー、おいで。」

僕はソファーに座り、座れと自分の隣をぽんぽんと叩いた。
彼女は頷き、僕の隣に辿々しい足取りで腰掛ける。
そんな彼女をどこにも行かせないと言わんばかりに抱き寄せた。

「クジャ様、私、お気を悪くされるようなことを言ってしまいましたか…?」
「別に。とりあえず、好きって言って。」
「えっと………」
「嫌いではないんだろう?」
「でも………」
「いいから。」
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