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兎は今日も虎を見張ります。

第1章 バニーの一年


虎徹さんは、いちサラリーマンであることを嫌がるんですが…まあデスクワークなんて普通にあるし、事件が起きればヒーローとして戦う。

虎徹さんはどうもヒーローになってからも、その「戦う」という部分しかやっていなかったらしくアポロンメディアに来てからもそれを続行しようと日々奮闘しています。

なんとかして止めたいんですが…。と、ヒーローの皆さんに相談した結果、こういうことになりました。


~~~


「イヤだ!なんっっで俺がコイツとずっと一緒に居なきゃなんねーんだよっ!!」
「我が儘はよくありませんよ、虎徹さん…ああ、そうだ。仕事を完璧にこなすまで僕はまた貴方のことをオジサンと呼ぶことにしましょう」
「それもイヤだぁああ!バニーちゃんの裏切り者ぉおおおお!!」
「ほらほら、暴れないのォ」
「ギャー!!!」
またいい歳して暴れる虎徹さんを取り押さえるファイアーエンブレムさん。その顔はなんとも愉快そうにふやけていた。
そう、今から彼、鏑木・T・虎徹は大手企業をその手に収めた社長、ファイアーエンブレムさんと一日行動を共にするのだ。
ロイズさんは仕事をしっかりする僕と居た方がいい刺激になるんじゃ、と言うが僕は反対だ。
いい刺激になるのならば、もう虎…オジサンはバリバリのキャリアマンになっていると思う。
だから、ここはストイックに働きまくるファイアーエンブレムさんの方が良いと僕は思ったのだ。
「本当に大丈夫なの?筋金入りの文字嫌いが、たかが一日で治ると思ってんの?」
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。それに、たかが一日でそんなのが治ったりでもしたら、虎徹さんじゃありません」
あの二人暑苦しいわね、と一人愚痴るブルーローズさん。その目には少し嫉妬の色が見えた気がした。

後日、帰って来た虎徹さんに話を聞けばそれはそれは世にも恐ろしい体験をいくつもしたらしい。いつもやっていたデスクワークなんて蚊ほどにも無いんだな…と実感したらしい。
「あとよ、ファイアーエンブレムの近くに居たせいなのかなんなのか、すっげー暑くてよ~。気のせいか?」
「そう言えばもう六月ですね。梅雨の前に真夏って感じですよ」
「あ~やっぱ気のせいじゃなかったか!ちょ、俺なんかニオわない!?」
「………加齢臭…でしょうか」
「マジで!?」
そろそろ自分のオジサン加減を意識しはじめたようです。
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