第15章 ヤキモチ
皆んなとは離れ裏にある古井戸の方まできた
廃墟の道場だったけど、古井戸は幸いな事に状態がよく使えるみたいだった
平助に水なんか頼まれて居ないが、来たからには水を汲んで戻ろうと思っていた
水を汲み暫しボーっとする
考えていることは銀ちゃんが遊郭へ行ったということ
(そうだよね…行くよね…
銀ちゃんも言ってたけど、辰馬だって前に溜まってるとか普通に言ってくるし、私がどうこう言う権利なんてないよね…でも…)
さっきからずっと、顔も年齢も分からないよーな女の人を想像し、昔したみたいに自分以外の人にあんな優しいキスをするのかとか甘い声で名前を呼んだのだろうかと考えるだけでモヤモヤする
(こんな事思うなんて自業自得なのに…)
名前は名前も知らぬその感情に唯々モヤモヤするだけだった