第39章 第38セット
*No side*
着々と試合は進み、及川のサーブも思ったように決まらないでいた。
日向の速攻も、以前の印象が強いためか守備の対応が追いついていなかった。
渡(あの10番のコース打ち分けはやっぱりマグレじゃないんだ、、、)
たがベンチでは松川が何やら思いついたようで、出番を待っていた。
青城はセッターでなくても一声あれば当然のように上げ、味方も当然のように打った。
青城というチームの歯車の噛み合い方が素晴らしい。
岩泉のサーブミスに花巻のスパイクと試合が少し進んだ頃、先ほど何やら思案していた松川がコートに入って来た。
松「おい、ちょっと」
花金「?」
金田一のサーブは綺麗にセッター位置に上がり、日向はまたブロードに入った。
青城は一枚ブロックで松川がついた。
松(一枚で止めるのはしんどい。でも、クロスには打たないでね?打てないよね??)
三年生特有の威圧感。
そしてクロスにだけは打たせないと言う強い想いに負けた日向はコープを絞らされ、逆にカウンターで決められてしまった。
松「うまい事コース絞れれば拾えるな。」
金「俺も次やってみますっ」
及「まっつん怖えっ」
そして強豪青葉城西とシーソーゲームを繰り広げていると知った観客たちがざわつき、集まり始めていた。
その観客たちに紛れ、彼女はジッと試合を見つめていた。