第36章 第35セット
*優side*
苦しい。
つらい。
何もかもが。
岩「優?」
一歩、また一歩はじめが近づいて来る。
岩「なんつー顔してんだよ」
私今どんな顔してる?
自分じゃ分かんないよ。
はじめは私の前の席に座り、背中を向けながら話し始めた。
岩「なぁ、優。お前に言いたいことあるんだ。聞きたくなかったら耳塞いでても構わねぇからさ、聞いてくんね?」
ズルイよ、はじめ。
あなたが私のお願い断れないのと同じで
私もあなたのお願い断れないの知ってるくせに。
岩「あのな、本当なら、俺にこんなこと言う資格ねぇと思う。
でも、俺、今でもお前の事好きだ。
柴崎と付き合ってた時も、気付けばお前を目で追ってて、お前と仲良く話す及川たちに嫉妬してた。
俺から突き放して、傷つけて、他の女と付き合って、、、最低だと思う。
でも、それでもお前が好きだ。
もしもう一度、チャンスがあるなら、俺と付き合ってくれませんか。
一からやり直してくれませんか。」
今までに無いほど丁寧で、つらそうな声だったのに
岩「うし、そんじゃあ行くか!あいつら待ってるしな!」
立ち上がって私を見るはじめはどこか晴れやかな表情で、それがさらに私を苦しめた。