第34章 第33セット
角川学園の百沢くんは烏野の壁(ブロック)をいとも簡単に上から打ちぬく。
翔陽はスパイクを気持ちよく決められず、焦っていた。
2メートルが打つスパイクに対抗すべき手はない
会場にいるギャラリーの大半がそう思っただろう。
身長というのはどんな才能よりも“恵まれる”という言葉が似合うものだ。
監「__高さとか、パワーとか、“シンプルで純粋な力”っつうのは一定のレベルを超えてしまうと、途端に常人を寄せ付けないモンになってしまうよな」
一人の大エースや一人身長の高い選手がいることで勝敗を分けることもある。
監「___少なくとも、真っ向勝負では。」
ギャラリーが増え始めた頃、中学でバレーを教えているという先生がやってきて、小さい方に同情すると言った。
バレーは身長だけでは決まらないのに。
とは言うものの、翔陽はネット際での対決に勝てていない。
やっと1点烏野に入った。
飛雄のサーブで崩すものの、百沢くんにブロックの上からスパイクを決められる。
___けど、空中戦だけがバレーボールではない。