第31章 第30セット
思っていたことが表情に出ていたのか、優ちゃんが慌ててケータイに文字を打ち込み始めた。
《そういう悲しい感じじゃなくてさ、
気休め程度っていうか、他はありきたりなのしか思い浮かばなくて
それで書いただけだから、そんな悲しい顔しないで?》
俺、そんな顔してた?
俺なんかよりずっと辛いはずなのにどうしてこんなに笑顔でいれるんだろう。
俺もこんなふうに強くなれたら、、、
考え込んでいたら優ちゃんに肩を叩かれて我に返り、なんて書いたのと聞かれた。
俺の書いた願いは
『春高優勝!!』
短冊を見せたら願いじゃなくて宣言だと苦笑いされた。
「別にいいべよ、なんだってー。
願いは神様に叶えてもらうより、自分で叶えたいの!」
自棄になってそそくさともらった小さめの竹に飾りをつけブースを出た。
屋台でかき氷とクレープを買って、近くの公園に行った。
ベンチに座り、二人で食べる。
俺がかき氷を食べていると優ちゃんが一口頂戴って言い出して、意識しまくりの俺はテンパるし、優ちゃんは平然としてるしで頭ショートしそうだった。
きっと及川たちとも分け合いっことかしてたから抵抗ないんだろなーとか余計なこと考えて少しヘコんだ。