第2章 悪者トロイメライ
夜が更け、ルカが自宅へ戻るとは両親へ向け“寮に入るから、明日からご飯はいりません”とだけ綴った置き手紙をおいて家を出た。
すると家の外には黒い高級車が停めてあり、運転席の窓からギディオンの顔が覗いていた。
「おい、荷物後ろに積んで乗れよ」
車のトランクを指さしてはそこに荷物を積むように促すギディオン。 助手席にはロカの姿もあった。
「あっ、はい!」
「お気に入りの車だからな! 傷つけんなよ」
トランクを開けては気をつけながらキャリーバッグを詰める。後部座席からメリルの声が飛んできた。
「早くしてよ! 僕もう眠いんだからね!」
急かされはわたわたとキャリーバッグを奥へと詰め、トランクの扉を閉めた。
「あの、えーと、私はどこに乗れば?」
「悪いけどメリルの隣しか空いてないからな。 殺されないように」
ギディオンの言葉を聞くとは控えめに後部座席の扉を開け、すみませんすみませんと謝りながら距離を空けてメリルの隣に座った。
「はあ? 何でスペース開けるわけ?」
そして何故か怒られた。