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**ジレンマガール

第7章 悪者マリオネット


「皆お前を受け入れようとしている。……だから、邪魔、なんかじゃない」

聞きなれないダレルの声は思っていたよりも低く、落ち着いていては不思議と安堵した。
ダリルも続いてうんうんと頷く。

「なんだかんだ皆姉ちゃんのことが好きだよ! 大丈夫!」

ダリルがベッドに座るの腰に抱きついた。
は未だに眉を下げながらもぎこちなく笑う。

「……ありがとう、ございます」

ふわふわしたダリルの頭を優しく撫でてはダレルを見上げる。そこではダレルがどことなく微笑んでいる……ように見えた。

「それでね! 次の作戦にね、姉ちゃんも入れようってみんなで話してたんだけど」

ダリルがを見上げると白い歯を見せて笑う。奥には控えめに尖る八重歯が見えた。

「楽な仕事だし、姉ちゃんも出来ると思うんだ」

は悩ましげに眉を寄せた。
勿論これは自分がGrImMsに受け入れられるための最初で最後のチャンス。 失敗すれば追い出され、成功すれば居場所ができる。
疎外感を感じず、ロカにも受け入れてもらえるかもしれないのだ。

しかし、はあくまで素人。
物を盗んだことも人を殺したこともない。 いくら楽とは言え、それはがしたことがない悪事。

「えーと……銃の撃ったことがない私でも……でき、ますか?」
「大丈夫! 一発鍵を壊す為に撃つだけだから、姉ちゃんにもできるよ」
「具体的にはどんな仕事を?」
「僕たちが暴れて兵士を引きつけてる間に誰もいない倉庫にある水晶玉を鍵ぶっ壊して盗んでくるだけ!」

だけ、という割には随分と荒々しい仕事である。

「……出来そうか?」

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