第7章 悪者マリオネット
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「姉ちゃん、入るよ?」
扉のノックを聞くと、ははい、と返事を返して体を起こした。
玄関ホールから響いてくる声たちに耐えられなかったはずっと布団の中で寝たふりをしていたのだ。
入ってきたのはダレルとダリル。
扉を開けたダリルの後ろに、身長の高いダレルが静かに立っている。
「……泣いてるの?」
真っ赤に腫れた瞼を隠すように不自然に手を動かしたにダリルはすかさず訊いた。
昨晩から何故だか涙が止まらず、は泣きっぱなしだった。寂しさを隠す術もなく、感情はいくらでも涙になって溢れ出てくる。
「私……ここにいるべきじゃないんでしょうか」
「何でそんなこというの」
ダリルがのベッドにちょこん、と腰を掛けた。
「だって、さっきも私のことで揉めてたでしょう? そんなことになるんだったらもう、いなくなってしまいたい……」
溜息に混じって、小さなしゃっくりが出る。
ふと立ったままのダレルがの頭に手を伸ばした。
「……」
叩かれるのでは、と反射的に目を瞑ったの頭をダレルがそっと掌で撫でた。