• テキストサイズ

**ジレンマガール

第7章 悪者マリオネット


「その一人は誰が行くの」
「今んところダレルを予定してるんだけど……何? メリル行きたい?」
「……いや、僕は がいいんじゃないかって思ったんだけど……」
「は?」

メリルのその発言はその場の空気を凍てつかせた。
普段表情を変えないダレルでさえ、目を見開きメリルを見つめている。

「だってあいつ指名手配書にも載ってないんだよ? 超都合良くない?」
「や、でも、危ないだろ……は武器も扱ったことのない素人だし」
「鍵壊して水晶玉奪うだけならにも出来るよ。 いつまであいつを仲間外れにしてるつもり?」

それはメリルなりの気遣いだった。
ここ数日が来てからGrImMsの雰囲気が歪んでいることに気づいたメリルだからこその発言。
ダリルも賛成するようにハイハイ、と手を挙げた。

「確かにいつまでも姉ちゃんを作戦にいれないのはおかしいよリーダー!」
「でも……えっと、その……なあ」
「なんでをそこまで大事に扱うわけ? 意味わかんない」

ダリルとメリルの勢いが良い責めに圧倒され、ギディオンの視線は泳ぐ。
そこをロカが横からすかさずフォローした。

「経験の無い彼女がもし、そこで残っていた警備に出くわしたらどうするつもりですか?」
「警備を殺せばいいじゃん」
「人を殺したことが無いさんにそれが出来ると……?」
「ここに入ってたらいつかは人を殺すことになるでしょ? いる? この中で人を殺したことがない人?」

メリルとロカが一触即発の勢いで睨み合う。

「大体ロカさんとリーダー最近様子が変なんだよ! あいつが入ってから!」

その声がホールに響くと共にギディオンは俯いていた顔を上げた。

「…………じゃあ、行くかどうかはに決めてもらおう。 な? それでいいだろ」

反応は各々違った。
メリルはどこか満足そうに胸を張り、ロカはピクリと眉を寄せ、ダリルは頷き、ダレルは無表情。


ギディオンの折衷案で朝の会議は終わり、重たい空気を背負ったままその日ははじまった。
/ 54ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp