第6章 悪者センチメンタル
ロカに恐怖を植え付けられた後だと、メリルの悪意ある照れ隠しも妙に可愛らしく見えてはクスクス笑った。
「な、何笑ってんの? 刺すよ?」
「いや、あの、メリルさん……本当は優しいんだなって思って」
「はあ?」
メリルはのベッドに断りなく腰を掛けると怪訝そうに眉を寄せた。
どうやら褒められたりするのは苦手らしい。
「……、本当に何かあったわけ?」
メリルの図星をついた言葉にの笑顔はつい硬直してしまった。
「ロカさんがいつもと様子違うんだよね」
「あ…………」
何か言わなくては。
しかし、はロカのあの冷徹に造られたロカの笑顔を思い出すと言葉を詰まらせた。
アイヴィー・シャムロックという名前は出してはいけない。 ただロカに怒られたといえばいいのだろうか。 原因を聞かれたら?
「いや、私、ロカさんとは何も……」
色々考えているうちについ、そんな言葉が先走ってしまった。
メリルはふーん、とだけ呟いて俯く。
「別にそれならいいんだけど。 リーダーはともかくロカさんは怒らせない方がいいよ、本当に」
「分かりました、気をつけますね」
そう言い捨てながらメリルはの部屋を見渡す。
「君、整理整頓はきちんと出来るんだね」
「へ? ……まあ、元から物が少ないんで散らかりようがないんですよ」
「……あのさ」
メリルはベッドに腰を掛けたまま、ずい、とに顔を近づけて来た。