第6章 悪者センチメンタル
はロカの冷たい手から逃げるようにして後ずさった。 ロカは未だ微笑んでいる。
「さんは今日は休み、いいですよね? ギディ」
「俺の買い物付き合ってもらう予定だったんだけどなあ」
「そんなの私と行けばいいでしょう」
「こういうのは女の子と行きたいもんなんだよ」
「じゃあ代わりにメリルで我慢してください」
ギディオンと楽しそうに話すロカを見て、は溢れ出す疎外感と拭いきれない恐怖に耐えられず静かに部屋へと戻っていった。
ロカが怖い__。
「あんなこと、訊くんじゃなかった」
は布団に潜り込みながら小さく呟いた。
アイヴィー・シャムロック、貴女は何者なの。
GrImMsは貴女の何を隠しているの。 今どこにいるの。
答えが返されることのない疑問はの心に深く、深く釘を刺した。
するとの部屋の扉が静かに開く。
「具合、悪いの? 顔が真っ青だったけど」
「……メリルさん」
入って来たのはメリルだった。
昨日買ったばかりの黒いドレスを着て、巻き髪のウィッグをつけている。
その顔には心配の色が浮かんでいて、は起き上がって拍子抜けた顔をした。
「大丈夫ですけど……それをわざわざ聞きにきてくれたんですか?」
が首を傾げるとメリルは頬を紅潮させ顔を逸らした。
「違うよ、ただ弱った君の姿見て笑ってやろうと思っただけ」