第6章 悪者センチメンタル
「何ですか?」
「…………来週辺り、また一緒に買い物いかない?」
「え」
メリルは聞き取れるか聞き取れないか、とても小さな声量でそう呟いた。
は何とか間をおいてその言葉を理解するも固まる。
そのの反応が余計恥ずかしかったのかメリルは顔をリンゴのように真っ赤にした。
「荷物持ちとして! あの格好でドレス屋入るの恥ずかしいし、他の奴ら連れていくの気まずいし!」
早口で慌てて言い加えられ、は全くそれを聞き取れなかったのだがやがて口元を綻ばせた。
「私もメリルさんとお買い物いきたい……」
「あくまで荷物持ちとしてだからね! 僕、今狙ってるドレスすっごくいっぱいあるから歩くよ」
確かにこの前の買い物はメリルのドレスのせいで地獄に思えた。 また付き合うのかと考えれば顔を引きつらせるも、に断る理由もなかった。
それに今は、GrImMsにどんな形であれ必要とされたかった。
この疎外感を拭えるのならば何でもいい。
「じゃあ来週の日曜日。 確か今週はもう一つマフィアを潰しにいかなくちゃいけなかった気がするからね」
「そうなんですか……?」
「ああ。 酔ったリーダーが言っていたことだから本当かは分からないんだけどね」
メリルは深々と溜息を吐いた。 顔もどこか疲れている。
昨日のグリオリオファミリーとの対戦は主にメリルが表立って活躍してたらしい。 そのせいだろうか。
「メリルさん、疲れてます?」
「……まあね。 ストレスは肌に良くないし、今日はゆっくり休むよ」
指先でピンクがかった茶髪を弄りながらメリルはベッドから腰を上げた。
「じゃね、。 君もその疲れ切った顔どうにかしなよ」
そんなセリフを言い残して出て行くメリルを視線で見送れば、はドレッサーに顔を向けた。
そしてぐったりして目に薄い隈を浮かべている自分に一言。
「……ひどい顔」