第5章 悪者プルガトリオ
中央階段を上がり、右側は個人の部屋が並べられており左側は長い廊下になっていた。
個人の部屋は隠れてはいけないというルールなのでは左側にいくことにした。
いくつかの柱と壁に飾られた絵画。 ほんのりとオレンジ色の光が廊下を染めている。
「それにしても広いな……」
こちら側に来たのは初めてだった為、は興味深そうに辺りを見渡す。 ダリルの気配はない。
角を曲るとそこにはいくつか部屋があり、は端から入っていくことにした。
「あれ……?」
しかし、一つ目の扉には鍵がかかっておりドアノブを捻っても開かない。 木で出来た扉には薄く“Ivy”と彫られている。
多少疑問に思いながらもは次の部屋へ。
今度は鍵が掛かっておらず、紙の匂いがふわりとの鼻を刺激した。
「わあ、図書室……?!」
そこには書物がギッシリ詰められている本棚が並んでいた。
学校にある図書室と同じような空間にの心は踊り、すっかり隠れんぼを忘れて書物を手にとり眺めた。 それは異国語で綴られた絵本であったりも読んだことがある有名な小説であったり置かれているジャンルは幅広いらしい。
「あ!」
暫く図書室を徘徊しているとは幼い自分が大好きだった絵本を見つけてつい声を上げた。
“ウサギのデューイ”
穏やかな水彩で描かれた可愛らしい絵の割に、中身はどことなく暗くて話の内容も子供には難しい。 独特の雰囲気とこの話に出てくるウサギのデューイを好きになったは小さい頃真っ赤毎日これを読んでいた。
「懐かしいなあ」
が本棚から本を引っ張り出し、読もうと本を開くとはらりと封筒が足元に落ちてきた。