第4章 悪者ライアー
「王の下僕が。気持ち悪い」
チッ、とメリルから舌打ちが聞こえてきた。
今GrImMsが一躍の“悪者”ならば、それを倒す役割を担っている“正義の味方”は誓騎士団。
二つは自然とお互いを敵視するようになり、今誓騎士団は血眼でGrImMsを探しているらしい。
__全ては王の意のままに。
誓騎士団の演説ではこんな言葉を聞いたことがあった。
王の為ならば何でもする。 そんな誠実すぎる姿勢からマフィアや盗賊からは王の下僕などと呼ばれてきた。
「ほら、胸くそ悪いからさっさといくよ」
メリルはコナリーとぶつかったの肩をバンッと乱暴に叩いてまた歩き出した。 多分、何かを払ったつもりなのだろう。
駅への道を歩きながらメリルはまた溜息を吐いていた。
「最近この周辺、リーダーがヘマしてから下僕の巡回多くなったな……」
「え、ギディオンさん何かされたんですか?」
「うん、変装も何もしないで出歩いたらしいよ。 バカだよね、バカとしか言いようないないね」
「捕まらなかったんですか?」
「まあ……あのときは下僕じゃなくて警察が相手だったから上手く逃げきれたらしいけど」
やれやれ、と心底呆れた様子でギディオンの失態を語るメリルに は思わず笑った。
「あは……」
「はあっ? 今の話に笑う要素なくない?」
「い、いや、あの、何だか楽しそうだなあって」
「何も楽しくないよ! やっぱり頭どうかしちゃってんじゃないの? 大丈夫?」
怪訝そうに顔を覗き込んで来るメリルを見て、はまた少し笑った。
「メリルさん、動揺すると眉毛下がるんですね」
「っは? 本当意味わかんない」
「かわいー」
クスクスと笑い続けるにメリルは赤くなった頬を膨らませて、パシンとの頭を叩いた後また早足で歩き始めた。
どうやら、からかうことには慣れていてもからかわれるのは苦手らしい。
「待ってくださいよー」
はそんなメリルをいつの間にか苦手意識しなくなり、慌てて隣を歩こうと荷物を抱えながら走った。