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**ジレンマガール

第4章 悪者ライアー


その後、食料やメリルの新しいドレスなど様々な物を買っては袋を両手一杯に抱えた状態で歩いた。
ドレスに関しては、メリルが決定するまでに3時間程かかった。 取り敢えずある店に全て入り、一着一着確かめてはボツにするを繰り返して往復二回。 そして最終的に"まあまあ良いんじゃない?”と手にとったドレスを購入した。

正直、そのくだりではクタクタに疲れ果てていた。

「何よろよろしてんの。 もうちょっと早く歩いてよ」
「待っ……こんな重いの抱えながらは無理ですってば」

武器の麻袋のみを抱えて平然としているメリルをは少しばかり恨めしく思ったがそれに文句をつけることはできない。 きっと瞬時にお陀仏だ。
後ろを必死について行くことが精一杯で、覚束ない足取りで歩いているととうとう隣を歩き去ろうとした男性に肩がぶつかってしまった。


「あ、ごめんなさいっ」
「……おや。 重たそうな荷物ですね、大丈夫ですか? よければ駅までお持ちしますよ」

ふと顔を上げると白い軍服を身に纏った青年が立っていた。 腰には剣をさし、後ろには馬をつれている。

“誓騎士団”

はその人物のことを知っていた。
王の命により、治安の維持の為に悪人達を刑にかけている集団。 そしてこの青年は団長であるコナリー・アークライト。
数ヶ月前、有名な海賊を捕らえたことで一躍有名になった所謂正義の味方。

その証拠にメリルがこれ以上ないくらいに嫌な顔をしている。

「いえ! 大丈夫ですから! 全然ほらっ」
「……そうですか。 ではお気をつけてお帰りくださいね、お嬢さん」

が両手一杯の荷物を持ち上げてぎこちなく笑うと、コナリーは紫紺色の髪を耳に掛けて微笑んだ。 そしてに頭を下げ、踵を返すと馬を引きながら歩き去って行った。


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