第4章 悪者ライアー
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「ただいまー」
結局メリルとが帰ってきたのは22時を過ぎた頃で、古城への暗い道を二人ぐったりとしながら歩いてきた。
「おかえりなさい、二人共」
迎えてくれたのは玄関ホールで一人ワインを飲んでいたロカ。
ギディオンとダレル、ダリルの姿はそこにない。 メリルは麻袋と一緒にソファーになだれ込むようにして座った。
「リーダーとダレダリは? まだ帰ってきてないの?」
「ギディは私と一緒に帰ってきたんですけどついさっき出掛けましたよ。 ダレルとダリルは今日は街に泊り込みみたいですね」
「ああ。 この時間ってよくリーダーいなくなるよね」
「そうですねえ。 私も何処に行ってるか分からないんですけど」
ワイングラスを揺らしながらロカはへ視線をうつして微笑んだ。
「どうでしたか? メリルとの買い出しは」
「はい! 楽しかったです、メリルさんも優しくしてくれたし……」
「はあ? 優しくなんかしてないだろ」
は重たかった荷物を床に置き、気の抜けた笑みを浮かべた。
「でも現にメリルに殺されてないってことは、楽しく買い出しができたんでしょうね。 お疲れ様でした」
「僕は楽しくなかったってば!」
「ふふ。 二人共もう自室に戻って休んでいいですよ。 メリルは特に明日朝早いのですから」
ロカは優しくメリルの頭を撫でて、目を細めた。
「分かった分かった。 じゃあ僕もうお風呂入って寝るから! おやすみ!」
ふん、と恥ずかしそうに頬を紅潮させたメリルは立ち上がって早足で階段を駆け上がって行ってしまった。
おやすみなさい、と言いそびれたは開きかけた口を閉じることもできずロカの方を向いた。
「……ロカさん、明日頑張ってくださいね」
本当は昔GrImMsにいた女の子のことを聞こうと思ったが、妙にカーシーに言われた言葉が気になって誤魔化すように笑ってはそう言った。
「ええ、ありがとうございます。 ギディにも伝えておきます」
ロカは微笑んで空になったワイングラスを机に置く。 はそんなロカに頭を下げた。
「じゃあ、私も寝ます! おやすみなさい」
「はい。 おやすみなさい、また明日」
また明日、その言葉を嬉しく思ったは上機嫌に階段を登って自分の部屋へと戻っていった。