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**ジレンマガール

第4章 悪者ライアー


「どうせメリルくんご乱心だし二人で話さない?」
「え、でも私メリルさんについていかなきゃ……」
「大丈夫大丈夫。 俺がメリルくんのところまで送るよ」

上手く言いくるめられてしまったはカウンターの前の席に座るよう促されて、大人しくそこに座った。
全体的に暗くて落ち着いた店内に、カウンターに立つ美青年からするとバーにいるような大人の気分になるも並べられているのは酒ではなく武器だ。 は緊張した様子で縮こまった。

「ちゃんは、悪者って感じじゃないね全然」
「そう、ですか?」
「うん。 良い子そうだし、あの子に似てる」
「……あの子? 誰ですか?」

カーシーはカウンターに腕を置きながらうっとりとの瞳を見つめてくる。
もカーシーのことを見つめるも、その美しい碧眼に吸い込まれてしまいそうですぐに顔を逸らした。

「昔、GrImMsに女の子がいたんだよ。 君が入る3年前の話なんだけど」
「え……?! 女の子……?」
「うん。 よくメリルくんとここに来てくれてたんだけどね、メリルくんその子にほの字でさ」

は初耳の情報につい輝かしい表情を浮かべてぱちぱちと瞬きをする。

「今はその子どこにいるんですか? 会ってみたいな」
「さあ……俺は武器を買いに来るときの彼女しか知らないからなあ」
「あ、そうですよね…… じゃあギディオンさんとかに……」
「いや、無闇に訊かない方がいい。 彼らやたら彼女のことを隠したがるから」

確かにこの件に関しては全く聞いていなかった。 日が浅いせいもあるだろうが話してくれる気配もない。

「何かあったんだろうね、GrImMsの中で。 きっとちゃんが知らなくていいことだろうけど」

は少し仲間外れにされたような悲しい気持ちになった。
自分が所属している集団のことなのだから全て知っておきたい。 隠されていることがある。

俯いたの頭をカーシーは優しく撫でた。

「君みたいな良い子にGrImMsは向いてないだろ。 沢山悲しんでしまいそうだ」
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