第4章 悪者ライアー
「取り敢えずいつもの一式と、僕の新しいナイフを頼んだよ。 血で錆びてきちゃったんだよね」
「最近メリルくん荒れてるもんなあ」
麻袋に拳銃や銃弾など物騒な物を詰めながらカーシーは苦笑いを浮かべた。
「イライラが止まらなくてね、殺していないと落ち着かないんだよ」
「相変わらずの殺人狂だな」
メリルはカウンターに並べられた武器を確かめるようにして触る。 その中でふと、気に入ったサバイバルナイフを見つければそれの柄を握って銀色の刃を見つめた。
「このままじゃ、誰彼構わず殺すような奴になっちゃいそうだ」
「それは無いだろ。 女には刃通せないくせに」
「……にはまだ“そのこと”をいってないんだから、少し黙って」
「言ってないのか? じゃあお前のかわいーい初恋のことも知らないわけだ?」
カーシーが楽しそうに笑いながら武器を詰め終わった袋の口を結んでいると、突然メリルが瞬時に取り出したナイフをカーシーの首に当てた。
先端が若干首に刺さり、小さな血の水滴が浮かぶ。
「黙って、と言ったよね今」
「……はいはい。 相変わらずこの話題に関しては初心だねえ」
「煩い、このクソ野郎」
メリルは心底嫌悪したような顔でそう言い捨てると麻袋を乱暴にカウンターから奪うようにして持ち、札束を投げ捨てて武器屋から出て行った。
も慌てた様子でペコ、とカーシーに頭を下げて出ていこうとするも、カウンターの中から出てきたカーシーに腕を掴まれた。