第3章 悪者エレジー
▼
「皆おはよう」
午前8時____。
玄関ホールにGrImMsのメンバー6人が揃い、眠たそうなギディオンが気力のない声で挨拶をした。
どうやらが気を失うように寝てしまった後、ギディオン達は酒を呑んでいたらしい。
ダレルが片手で頭を抑えながらぐったりとした表情を浮かべている。
「えー……と。 明日はグリオリオファミリーの宝を盗みにいくの、に言ってあったけ」
「まだですよ、ギディ。 二日酔いなんかしている貴方に大事な説明をまかせたくないので私から説明しますね」
いつもに増して砕けているギディオンの頭をロカは容赦無く叩いて、に近づいてきた。
ロカ曰く、明日はグリオリオファミリーというマフィアグループが銀行から強奪した大金をアジトまで行き横取りするらしい。
グリオリオファミリーといえばここ最近荒れているマフィアで、大金の為ならば人を簡単に殺す凶暴な集団だ。も名前は知っていた。
だからは明日の作戦には不参加。 戦闘経験がないにマフィアとの対峙は無理だとギディオンも判断したらしい。
「なので明日はダリルと貴女は留守番を頼みますね」
は安心したような、それでいてどこか不服なような気分を噛み締めながらはいと返事した。
「あ、あと今日はとメリルで買い出しに行ってきてください。 必要な物が沢山ありますから」
「えっ、僕もいくの?」
「彼女一人では場所も分からないでしょうし、武器屋との交渉もできません」
メリルはわざとらしく深い溜息を吐いてを見た。 その物言いたげな視線と目が合ってしまうと、は気まずそうに微笑みかけた。
「私とギディはアジトの下見に行ってきますから、ダレルとダリルはその他の情報収集を頼みましたよ」
「了解」
本格的なGrImMsの作戦に立ち会ったは未だに感動した様子でわなわなと震えていた。