第2章 悪者トロイメライ
「何だか素敵なところですね! 仲間思いで」
まだ深入りしてはいけない。 そう悟ったは誤魔化すように笑いながら言葉を発した。
「おう、だから俺はGrImMsが大好きだし手離したくない。 例え盗賊集団でも」
はまた、ミラー越しにギディオンを見た。 もう目は合わないがギディオンはどこか嬉しそうに笑っている。
「入ったからにはお前の事も大事にするよ」
「! な、なんか照れますね」
「そういう意味じゃないっつの!」
信号なんか知らないとばかりに古城への道をスピード違反しつつ走っていく車の中には、小さな笑い声が響いた。
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古城につくと、車は門の前に停められは荷物と共に車から降りた。
「さあ、今日からここがお前の家だ」
蔦が絡まる大きな門を開きながらギディオンはにそう言った。
カラスがまるでを歓迎するようにして、木の上から鳴き声を飛ばしてくる。
「足元に気をつけて」
キャリーバッグを引きずりながら城へと続くレンガの道をゆっくりと歩いていると、ロカがランタンをの足元を照らすように当てた。
「あ。 ありがとうございます」
「ここのお城、少し古いけれど雰囲気あっていいでしょう」
「そうですね。 ちょっと怖いですけど」
自然とロカの隣に寄り添うようにして歩いていると、暗い闇にどっしりとただずんでいる古城が見えてきた。