第2章 悪者トロイメライ
「扉、開けてみろよ」
城の前にたどり着き、ギディオンにそう促されるとは緊張した面持ちで重たい扉を開いた。
すると、中から“パパンッ!”と発砲音のような大きな音が聞こえては固まった。
「ようこそ、GrImMsへ」
後ろからギディオンがにそう囁いて、背中を押して来た。
固まっていたが城の玄関ホールへ入ると、クラッカーのような物を手に持った二人が近づいてくる。
一人は囚人服を着た白銀色の髪の成年。
もう一人は同じように囚人服を着て可愛いウサギの髪飾りを付けた黒髪の少年。 年は離れているようだが、顔立ちはどことなく似ている。
ダレルとダリル。
は指名手配の紙でその顔と名前を知っていた。
「お姉ちゃん! よくメリルに勝てたね!」
するとダリルがぎゅっとの腰に抱きついて来て、まだ声変わりのしていない高い声でそう言ってきた。
すかさずメリルが横からダリルの頭を叩く。
「まぐれだっつってんの、ガキ」
「そんなこと言って。 本当は実力で負けたんじゃないのお?」
「僕が実力でこんな女に負けるわけないでしょ!」
を挟んでダリルとメリルが口論している中、真ん中に割り込むようにして入ってきたのがダレルだった。
ころころと表情が変わるダリルに比べて、ダレルはずっと無表情だ。
「……よろしくな」
「あ! はい! 此方こそっ……よろしくお願いします!」
185cmにも及ぶ長身長で、更に無表情であるダレルに見下ろされはおろおろと怯んだ。
そんなの様子を傍から見てギディオンは笑ってみせると、の肩を抱き寄せた。
「さあ、今夜は久々の歓迎会だ」