第1章 1・ようこそ、幻想郷へ。
*零乃SIDE*
『ねぇっ、キヨっ⁉嘘っ、キヨっ!』
目を閉じたまま僕の服の裾を強くギュッと掴むキヨ。
そういえばキヨが言っていたっけ。
〜
「へ〜…最近はこんな事が…お、零には言っといた方が良いな。」
『どうしたの?』
「おう、零か。
お前って確か神社とか歴史的建造物が好きだったな。」
『?うん。湧き出るオーラがほんっとうに堪らなくてさぁ!』
「おう…あ、それでさぁ、1つ警告。」
キヨが新聞紙の一面を見せてきた。
僕は躊躇う事なくジッと記事を見ると、写真に僕の大好きな風景。
『何これ!神隠しっ⁉』
「おう、それそれ。」
僕は更にまじまじと記事を読む。
「別に零の趣味に口出しはしないけど、こういう事も起きるかもしれないから。
気をつけろよ?」
『だけどキヨが助けてくれるんでしょ?』
「うぐっ、そ、そうだけど…」
ボソボソ何かを呟くキヨに僕はクスクス笑って、
『有難う。気をつけるよ!」
〜
こんな事があったっけ…
それが今起こっているって分かってると何か、
『あっはは、』
本当に
『ふふっ、あっはははははは‼』
何かよく分かんないけど、
『ごめんっ!ごめんねキヨっ!
あっははははは!』
涙もこぼれてるのに。
怖いのに。
笑っちゃうんだよなぁ…
その時。
一つの声が聞こえたのに。
そこに手を伸ばす事も出来ずに。
僕も意識をなくした。
最後に見たもの?
強いて言えば、
僕の事を思ってくれた大切な親友の胸かな。