第1章 1・ようこそ、幻想郷へ。
*キヨside*
『わぁっ!何これ凄い!なんか雰囲気が凄いよキヨ!』
真夏。緑色が夥しい数並び、蝉の声が五月蝿く響き渡る中、俺の隣からも少し高い声が響く。
「どーしたんだよ、零。そんなでけぇ声出してさぁ。」
へらへら笑いながら零の頭を撫でる。
零は頬を膨らませながら指をさす。
その先には、緑が茂っている中建っている、はっきり言おう。ボロい神社…?みたいなもんだ。
『なんか中は涼しそう…!ねぇっ!行ってみようよキヨ!』
目をキラキラさせながら話す零に期待を裏切らせてはいけない…!
もし裏切ってしまえば…
~
「はぁ?別にいいだろ?行かなくてもさぁ…めんどくせぇし。」
『…うぅっ』
「何だよ…」
『うわぁああぁああ!酷いよキヨ!僕は君がそんな酷い人じゃないことを知ってるからぁあああ!』
そこに聞こえるヒソヒソ話。
俺を酷い人だとでもいうように。
違う!俺はそんな酷い訳じゃねぇんだよ!
ぁあああ!もう何か酷い酷い言いすぎて頭の中で酷いがゲシュタルト崩壊してきた!
もう助けてドラえ⚫ん!
~
こんな展開になってしまう…!
そんなことさせない!そう察した俺は爽やか笑顔で!
「うし!じゃあ、いってみっかぁ!」
これで…よかったんだ…
そう思って零の手をひいて歩き出した途端、
いきなり浮遊感が俺を襲った。
嘘だろ?と思い、下を見ると黒っぽい結界みたいなのに目玉が沢山ある。
『キヨ!何これっ!大丈夫!?』
零がそう言って俺を小さな身体で抱きしめる。
小さな至福を感じ、零の言葉に返答する前に俺の意識は消え去った。