第2章 願い
考えるけど踏み出せない。
きっかけを求める自分。
変わらないことを求める自分。
自分に嘘をつくのが得意になったな。
心地いい風に
イヤフォンから流れる
甘いラブソングを
思わず口ずさむ。
「ラララ ラララ ラララ」
朝って気持ちいいな
っといつもの道を歩いていると
イヤフォンのせいか
後ろから近づく気配に気がつかなかった。
「おはよう」
声をかけられて振り向き驚く。
「あ、おはよう……」
「なに?早いね。
しかもご機嫌だね?」
と、少し意地悪な笑顔。
朝練に行くためか
大きいバッグを抱える彼。
突然の出来事に戸惑って
「あ、うん。
早く目が覚めたから、ね。」
っと苦笑いをしながらしか
答えられない私。
「ふーん。
じゃ俺、朝練だし先行くわ。」
と、言ってペダルを強く踏み出す彼。