第10章 a LOVELY TONE
はぁっと溜息が出る。
決して、不幸を嘆くための溜息では無い。
今の気分は最高のはず、なんだけど。
だけど、それ以上に最高<緊張といった感じなんだ。
明日のことを考えると、寝れやしない。
待ちに待った日。大切な記念日。
この日のために前々から準備をしてきた。
そんな日を向かえる前なのだから、緊張しないほうがおかしいだろう。
用意は万全だ。
大丈夫だ。
何度も脳内シュミレートをしているが、抜かりは無い。
それでも、さっきから俺の頭の中は無いボキャブラリーを総動員して言葉を選びに選んで最後の言葉を完成させようとしている。
そう。周りの準備は万全だ。
でも、俺の心の準備がまだ不十分みたいだ。