第6章 手と涙
手紙を机の上におき
彼が帰宅する前に
家を出ることにした。
行くところもないので
カフェで時間をつぶす。
時計を見れば、
彼が帰宅する時刻。
帰ってきて、手紙を読んでくれるだろうか。
今日は、帰らないほうがいいかな?
少しそわそわする自分を
落ち着かせるために
コーヒーを一口飲む。
店内を流れるBGMを聴きながら
今日の宿はどうしようかっと
考えていると
携帯が光った。
ディスプレイには
彼の名前が表示されている。
電話をとれば
「もしもし…」
彼の声。
いつも通りの声。
少し安心しながら
心の中でつぶやく。
私たちの道は続いて行く。
ゆっくり行こう。
fin.