第6章 手と涙
思い立ち、机の引き出しから
レターセットを取り出す。
これもこれで、恥ずかしいが
今は会って話すほうが気まずく、
また思ってもない事を
言ってしまいそうなので、
手紙を書くことにした。
『昨日はごめん。』
と、一行目に書いたが
なんか違うと思った。
謝ることもしたいのだけど。
もっと二人のことを書きたいと思った。
二人のことって、なんだろう?
出合ったときのこと?
楽しかった思い出?
そういうのではなくて、
二人の関係みたいなことかな…?
っと、真っ白になった
レターセットの前で
自問自答を繰り返す。