第5章 電車、滑り落ちる、ヘッドフォン
3番線の下り列車
いつもより一本早い電車
いつもと違う車両
いつもと違うベンチ
昨日までとは違う
昨日までとは違うんだ。
そんなことを考えていたら
はぁーっとため息が出た。
わざといつもと違うところに列び
電車を待っている。
昨日まで待っていたあのベンチには
近づかないようにわざと。
昨日。
っとまた考え始めたことに
嫌気がさして、我に帰る。
電車の近づくガタガタという音
夕暮れに色付く空
それを横目に見ながら
ヘッドフォンを取り出す。
考えないようにしようと思うほど
鮮明に思い出し、考えてしまう。