第1章 始まり
「はぁっ…はぁっ……ふー…ここまで来りゃ平気か…全く、俺が何したってんだ。」
初めてくるから土地勘無ぇのに、全力で走った上に迷ったぞ。
「さて、どうしたもんか…。」
すると、遠くの方から
”ギャァァァァァァァァァァ!!!!"
「(ビクッ)な、なんだ今の!?」
尋常じゃない叫び声が気になって、聞こえてきた方へ走り出してしまった。
「…はあっ、はあっ…確か、このあたり……ッ!?」
角を曲がって驚愕した。
俺は急いで隠れ、身をひそめる。
心臓が痛いぐらい鳴る。
この際、そんなことどうでもよくなる。
だって、人が人殺してんだよ!?
俺は、震える身体を必死に抑え、様子を伺う。
「ひ…ひひっ…血ぃ…血だぁ…!」
浅葱色の…羽織…新選組…?
あれ、なんかどっかで…。
カタンッ…
しまった、音が…!
時すでに遅し。浅葱色の羽織を纏った男達が一斉に俺の方を向いた。
血のように紅い瞳、白髪の髪。
間違いない、あれは…羅刹。
でも、待って、あれは薄桜鬼の中だけであって…。
ニンマリ笑う羅刹が俺に向かって刃を翳す。
やべぇ…殺される…ッ!?
走りたいのに、身体がいうことを聞かない…くそっ!