第8章 好きというのは
「お帰り、どうかしたの?」
「いーえ。さ、今日は何人の女の子と遊ぼうかなっ」
何も言わずに椅子に座る立先輩だが、何故か部室の空気が重くなる。
「あのさー」
由布院先輩がこの空気を破ってくれるのかと思った。私と立先輩、硫黄君を見て言う。
「お前らさ、何か隠してないか。特に渚」
「……!?」
「……!」
「……っ!」
三人とも息を飲む。隠しているというのは多分、私が女だという件だろうし…
「俺も少し感じてたんだよね…」
「何の事でしょう由布院先輩、鬼怒川先輩?」
「そーだよ、勘違いだろー」
皆はぐらかすが、私達三人は目を合わせる。
(どーすんだよ!?)
(バレるのも時間の問題でしょう)
(でも私退学になったらこの時期に入る学校なんて…)
(いっそ打ち明けて協力してもらえば?)
(そうですね…硫黄君お願い!)
(わかりました)
三人は軽い深呼吸をして先輩の方を向く。