第8章 好きというのは
「なぁ渚、ちょっといいか?」
部室にいると、蔵王先輩が突然私を呼び出した。
私達は部室を出て直ぐのスペースに行く。
「なんですか?」
「俺さ…渚の事が好きなんだ」
「……えっ!?」
「答えはいつでもいいよ。だからいつもと同じ様にしてて」
「でも私は――」
男ですから。
そう言おうとしたが、蔵王先輩にはバレバレでそんな言い訳なんて効かない。
「…まさか彼氏いた?」
「うっ…いえ、いません」
「俺、渚に好きになってもらえるように頑張るから」
「……考えておきます」
悩みが一つ増えて大変だ…と思った時に誰かの声が聞こえてきた。
「ぜってー負けない!」
蔵王先輩のその呟きが、また謎を生んだ。
誰かと張り合ってるの…?