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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第17章 キライ、でも、スキ 【黄瀬涼太】


ベッドに寝転んでから携帯を数分触り、そしてもう寝ようと思い、電源を落として瞼を閉じた。


翌朝、目が覚めリビングへ行けば、昨日作ったハンバーグはなくなっており、春乃が食べたことがわかる。
それに少しほっとし、テーブルに並べられた朝食と「これ食べてください。先に仕事に行きます」と書かれたメッセージを見る。
作ってくれたのはすごく嬉しいが時間をずらして仕事へ行った事は少しばかりショックだ。

「いただきます」

皿に乗った目玉焼きを食べつつ今日の仕事のスケジュールを思い出す。
今日は雑誌撮影が1本とCM撮影が1本。うん、なかなかいい具合なスケジュールだ。

朝食を食べ終え、さっと着替えて身だしなみを整え自分も家を出た。


喧嘩をしてから数週間。未だに春乃とはすれ違ったまま。
そろそろ心も限界。そもそも春乃が家に帰らない日が殆どだった。

今日こそちゃんと話し合わなければと思っていたところに、携帯が着信を告げる。
画面に表示された名前は春乃。
慌てて電話に出る。

「もしもし、春乃?」

「うん。私。あのね涼太。 」

久しぶりに聞いた春乃の声。
やはり落ち込んでいるように聞こえる。

「あの春乃、俺…」

「何も言わないで。今日さ、8時から音楽番組あるでしょ?」

「え?あの生放送の?」

「うん。それ見てて欲しいの」

どういう事なのだろう。今日やるその音楽番組に春乃が出るなんて聞いていない。

「わかった。見てる」

「うん、ありがとう。それじゃ」

通話が終わり、携帯を握ったままぼんやりと電源が付いていないテレビを見る。
8時までに晩御飯を食べ終えようと思い簡単な物を作って食べる。

そして8時。音楽番組が始まり、今日の出演者であるアーティストがステージへと出てくる。しかし、その中に春乃はいない。

アーティストがすべて出終わり、アナウンサーが口を開く。

「今日はスペシャルゲストが来てくださっています。名前はまだお伝えしませんが、その方が今日、新曲をサプライズ発表してくださるそうです!」

わくわくとした様子で話すアナウンサーを見てスペシャルゲストは誰なんだろうと考える。
もしかすれば、と思うが自分が思った事があっているのかはわからない。




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