第26章 鍵とパレットナイフ
なにか物音がし、歩きだそうとしたのだが、メアリーが自分に気づいてくれていないのか、画を見たまま動かなかったのだ。
あの『告げ口』はいつの間にかパカパカと開いていた。
なにかを言ってるみたいだがわからず、メアリーのそばへと近寄った。
「メアリー、大丈夫・・・?」
メ「・・・うん 大丈夫
・・・だい じょうぶ?
ダイジョウブ? 大丈夫?
うふふふ ふふふふ
あははは はははは
イヴ 大丈夫 メアリー
大丈夫 わたし あははは
うふふふふ はははははは」
メアリーはそれだけ言うと、イヴの前から走ってどこかへ行ってしまった。
冷や汗が流れてくるのがわかった。
恐怖。
ともに行動していたのだけど、はじめて彼女に思った。
笑顔ばかり浮かべていたため、なにも恐怖に思うことはなかったのだけれども、今回ばかりは恐怖を感じた。
しかし、彼女を一人でおいて言うことは自分には出来なかった。
彼女を追いかけるとあの白いマネキンが奥へ行くのを防ぐためなのか立っているのをメアリーは持っていたパレットナイフで切りつけていたのだ。
メ「邪魔だなぁ 邪魔だなぁ
邪魔だなぁ 邪魔だなぁ・・・」
声をかける前に、イヴは元来た道へと戻った。
戻って息を吐いたと同時に感じる後ろからの視線
メ「イヴ・・・
おいてかないで・・・」
「え、あ、置いていってなんか・・・」
少し歩くと、メアリーは後ろからついてきていた。
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