第20章 届いて欲しい声
そう思って、奥にある本棚の方へと向かったのであった。
一つ目の本棚にはなにもなかったのだが、二つ目の本棚には『ゲルテナの作品集 上』というものがあった。
ゲルテナが描いた画がアルファベット順にのっていたのだ
メ「ちょっと 見てみようか?」
メアリーの言葉に頷いて、まずはAのページをめくってみることにしたのだ。
『赤い服の女』 6210年
当時はゲルテナの 愛人をモデルにしたとも
言われていたが 本人の口から否定の言葉が出た。
実際は ゲルテナの遺産を 狙い
言い寄ってきた ?く??な 女性たちを
イメージとして 残したものとのこと。
『???模様の魚』 6235年
モノクロで描かれた にも関わらず
光の加減や角度により 色づいて見える不思議な作品。
非常に??で ??な?の描写は
見る人に様々な感情を 呼び起こすであろう。
『ジャグリング』 6223年
孫と見に行った サーカスで出演した
ジャグラーをモデルに 描かれた作品。
ゲルテナが 実在する人物を
モデルに描くのは 大変珍しく
現在でも この作品は 高値で取引されている。
一通り確認し終えると、隣の壁にカギ穴があることに気がついた。
先ほど手にした木のカギを差し込むと、がちゃと音がしたのだがなんの異変も起こさないため二人揃って首をかしげていた。
なにも起きない。
はぁと小さく溜息をついた。
自分は赤司に助けてもらったというのに、自分はなにも返せなかったの悔しかったのだ。
でも一応と。
今さっき見た作品集の名前と年月だけは頭の中で何度も何度も唱え、赤司に伝えれたらいいな。と祈っていた。
そんなイヴをメアリーは後ろからじっと見つめていた。
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